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コラム 記者の呟き

 先月、岩手県で姉の結婚式があったので帰省し、久し振りに4人兄弟全員が顔を合わせた。姉は中学校教師、私は新聞記者、弟は関東地方で警察官、妹は東京でシステムエンジニア、と四者四様▼兄弟全員で教育問題のテレビ番組を見ていた時、弟が「授業妨害は、公務執行妨害で逮捕できる」と言った。弟の勤務先では、公立学校の教師を「公務員」授業を「公務の執行」と解釈し、授業妨害や教師への暴力は、公務執行妨害罪を適用して逮捕するという▼「ただ、適用するかどうかは『上の人(校長など)』の覚悟次第」と限界を指摘し、「今、被害届を出さないと、後で言ってきても受け付けませんよ」と、学校に対して被害届を出すよう促すという▼岩手県内の公立中学校でも、「1980年代の再来」と言われるほど、荒れている学校があり、背景には「校内暴力世代」が親になり、子どもの非行を容認しているという▼「荒れる生徒」に対処するは、教師による恣意的な体罰より、警察が法に基づいて積極的に介入するほうが、まだましと言わざるを得ない。(崎)

(2008年12月3日付常陽新聞社会面掲載。)


 12月1日付で正社員に登用された。昨年9月から新聞の販売営業兼"取材助手"の契約社員として約10カ月、正式入社後に報道部で記者として約5カ月。長い道のりだった。先日会社で行われた忘年会の酒は、私にはひときわおいしかった▼翌日、龍ケ崎市内の「湯ったり館」で入浴しながら、大学時代の頃を回想していた。当時、東京・竹橋の全国紙夕刊で、大学生向けのページがあり、私は茨城県内の私立大学からただ一人参加して記事を書いていた▼編集長からは毎度のごとく原稿に赤ペンを入れられ、編集会議では東京の有名大学の学生たちから自分の書いた記事を批判されたが、そのたび「今度はもっといい記事を書こう」と心に決めていた▼当時編集長を務めていたベテラン記者は、かつて社会部のエース記者として鳴らしていた人物。私たちは編集長の背中を見て育ち、記者としての「大切なもの」を教わった。それから約10年。編集長の教えは今も私の中で生きている。(崎)

(2008年12月10日付常陽新聞社会面掲載。)


 「199X年、日本は就職氷河期の猛威に包まれた…」。かつて、テレビアニメ「北斗の拳」の冒頭ナレーション部分をもじってわが身の不運を笑い飛ばしたが、今や「2008年、日本は『派遣切り』の炎に包まれた…」と表現したくなるほど、派遣労働者の切り捨てが行われている▼「派遣切り」と並行するかのように、大学生への「内定取り消し」も横行し、かつての「就職氷河期」を思い起こさせるが、当時と違うのは、派遣労働者の雇い止めが頻発しているという点だ▼派遣先から雇い止めされると、派遣労働者は住んでいた寮を退去させられ、職と住居を同時に失う。本県の場合、工場で勤務する派遣労働者も多く、「あすはわが身」と心配している人々も多いはず▼「フリーター全般労働組合」では「『生きのびるための労働法』手帳」を作成し、「派遣切り」に対応している。問い合わせ先は(電話03・3373・0180)http://freeter-union.org/union/まで。(崎)

(2008年12月17日付常陽新聞社会面掲載。)


 先日、仕事で東京に出た折に、弊社東京支社のある銀座8丁目の「exhibiti Live&Moris gallery」に立ち寄り、「増山麗奈個展『コノ花サクヤ姫』」(今月27日まで開催)を鑑賞してきた▼日本最古の書物「古事記」に書かれた日本神話「木花咲耶姫(このはなさくやひめ)」が、貧困・環境破壊・戦争によって支えられて来た新自由主義が破綻した世界に再び花を咲かせ、命につながる地球作りあげるために現代に蘇った、とのコンセプトで描かれた作品が展示されている▼増山さんは画家の一方で、「桃色ゲリラ」を組織してイラク戦争反対運動を行うなど、積極的に社会問題に取り組み、最近では若年層の格差問題などを取り上げた「超左翼マガジン『ロスジェネ』」の編集委員も務め、執筆活動も精力的に行っている▼今月25日のクリスマスに32歳の誕生日を迎える増山さんだが、これからの活躍が期待される。ぜひ茨城県内でも個展を開催してもらえればと思う。(崎)

(2008年12月24日付常陽新聞社会面掲載。)


 今日は大みそか。年越しにあたっては、NHK‐FM「今日は一日"アニソン"三昧ファイナル」(午前9時15分~午前0時30分)をお勧めしたい。リクエストの中から放送される数々のアニメソングだけでなく、案内役の歌手・水木一郎さんと声優・緒方恵美さんによるトークも聴きどころ▼アニメ「キン肉マン」の主題歌を聴いて「"友情パワー"というものを信じられたころがあった」と、自分の抱えている苦しみを誰にも共有してもらえずに孤独の闇で苦しむ若者や、アニメ「ポケットモンスター」の主題歌を聴いて「子どものころに戻りたい」と、派遣切りにあって寮を追い出された派遣労働者の若者など、ラジオを聴きながら感慨にひたり、涙ぐむ若者が多いことだろう▼泣いてもいい。思いっきり泣いて、水木さんや緒方さんから「生きる勇気」をもらい、新年を迎えたら、勇気を持って苛酷な現実社会と向き合い「人間らしく生きる権利」を得るために行動しよう。(崎)

(2008年12月31日付常陽新聞社会面掲載。)