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コラム 記者の呟き

 3日の節分では県内各地の神社などで豆まきが行われたが、2年前の節分前夜に東京の米国大使館付近で行われた「エア豆まき」を思い出した▼「"鬼は外"アクション」と銘打ったこの企画は、当時のブッシュ大統領や安倍首相らを"鬼"に見立てて、イラクや日本に災いをもたらす「ブッシュ鬼」たちを「エア豆まき」で追い払おうという、イラク反戦運動に節分を取り入れたユニークな試み▼会場では「ブッシュ鬼」「安倍鬼」ら"鬼"が勢ぞろいしたところで、約100人の参加者たちが「平和は~内!ブッシュは~外!」の掛け声で豆を投げるしぐさを行い、「ブッシュ鬼」らが豆を当てられて痛がるポーズをした。このニュースは国内のネットニュースや外国通信社などが報道し、世界各国に配信された▼あれから2年経ち、米国大統領はオバマ氏に代わったが、イラクの人々はいまだに平和とはほど遠い状態にいる。来月の3月20日にはイラク戦争開戦6年目を迎える。(崎)

(2009年2月4日付常陽新聞社会面掲載。)


 14日はバレンタインデーだが、32年間の人生において、いわゆる「本命チョコ」をもらったことがない。「2・14」は「12・24」と並んで、いかに女性に縁が無いか、という現実を認識させられる日である▼バレンタインデーが、目には見えない「女性との縁」を"可視化"するものならば、「年越し派遣村」は、目には見えない「日本国内の貧困の実態」を"可視化"したものである。「年越し派遣村」から1カ月以上過ぎたが、いまだに県内でも「派遣切り」が絶えない。派遣先企業はともかく、派遣労働者からまるで「ゴマ油を搾る」かのように搾るだけ絞り取って、用済みとなれば派遣労働者を放り出す派遣会社の責任は厳しく問われなければならない▼現在「ルポ・年越し派遣村」の続編を書こうと取材を続けている。この問題は雇用、社会保障などの問題が複雑に入り組み難解だが、「居酒屋談義」レベルの"妄言"を一掃するためにも、あきらめずに取り組んでいく。(崎)

(2009年2月11日付常陽新聞社会面掲載。)


 11年前の大学4年当時、大手通信社の写真記者採用試験を受けたことがある。筆記試験の通過者に対して、2次試験として面接と「実技試験」が行われた▼「実技試験」とは、受験者にフィルム2本を渡して、本人の一眼レフカメラでテーマに沿った写真を制限時間内に撮影させ、撮影後に試験会場へ戻ってから60分以内で約300字の写真説明記事を書かせるもの。私が受験した時のテーマは「不況」で、カメラを持って東京・日比谷の通信社本社を飛び出し、有楽町や新橋駅前を回って写真を撮影した▼廃業で閉鎖した山一証券の支店入口、ホームレスの人、客待ちのタクシーの行列…。短い制限時間内で撮影し、受験会場に戻って記事を書いた。だが、採用に至らなかった▼そして2009年の日比谷公園。「100年に一度の大不況」がもたらした「年越し派遣村」で、"常陽新聞記者"としてデジタル一眼レフカメラで撮影をするとは、何かの巡り合わせなのかもしれない。(崎)

(2009年2月19日付常陽新聞社会面掲載。)


 先日、祖母の三回忌のため、岩手県の実家に帰省した。昨年の一周忌と比べて参列者は少ないが「家にとっての"公式レセプション"」であることには変わりはない▼到着早々に祭壇の準備に追われ、夕方には実家に親せきを招いての夕食会。当然、酒が振る舞われた。注がれるまま何杯も飲んだが、泥酔はしなかった。父から「酒の席では泥酔は厳禁、親せきなどがいる場ではなおさら。でないと『家の恥』になる」と、酒席マナーを厳しくしつけられた▼夕食会の最中、テレビに中川昭一元財務相の「あにょ~、ふぅ~」との、ろれつの回らない「泥酔記者会見」が映し出されると、親せきからの「中川さんみたいになっちゃダメだよ」との一言に笑いが起きた▼中川元財務相の件に関して、一部からは随行員や同行記者に責任転嫁する論調が見られるが、「55歳にもなって、酒の飲み方も知らないのか。"自己責任"だろ」の一言に尽きる。「酒は飲んでも飲まれるな」を忘れずにいたい。(崎)

(2009年2月25日付常陽新聞社会面掲載。)