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コラム 記者の呟き

 久し振りに自宅アパートで休暇を迎えた。今月に入ってから公私ともに多忙のせいか、まともに休養してなく、先輩記者から「まともに休んでないんじゃないですか?」と心配されるほど、心身ともに疲れきっていた▼ストレスのたまり具合を象徴するように、部屋の中には焼酎のペットボトルやビールの空き缶が散乱しており、懇意にしている新聞販売店の店員から「飲まなきゃ、やってられないですよね」と同情された▼新聞記者は「毎日が勤務評定」で、毎朝自宅に届く他紙を読みながら一喜一憂する日々を送る。とりわけ本紙「クローズアップ」を自分が担当したときは、記事への酷評が下されるたびに酒量が増えていく▼「東京新聞の『こちら特報部』、朝日新聞の『ルポにっぽん』に勝ちたい」と思いつつも、なかなかうまくいかない現状にもどかしさを感じている。だが、心が折れた瞬間、そこで「人生」が終わってしまう。体だけでなく「心の健康」にも気を配りたい。(崎)

(2009年3月4日付常陽新聞社会面掲載。)


 「貧困問題に取り組まない政治家はいらない!」貧困問題に取り組む「反貧困ネットワーク」の合言葉だ。これまでNHK、日本テレビ、毎日新聞、朝日新聞、週刊東洋経済などの記者たちが"貧困問題"について報道してきたおかげで社会問題として認知され、政治家も取り組むようになった▼その一方で、派遣労働者や彼らを支援する労働組合、市民団体の「あら探し」に血道を上げ、中傷に精力を注ぐ一部全国紙、週刊誌、月刊誌、ネット掲示板、ブロガーなどの存在があったのも事実だ。だが「自分の半径5㍍以外の世界に興味を持たない人間」はだませても、現実世界で貧困問題に直面している市民はだませない。いずれは「貧困問題に取り組まないメディア、ネットはいらない!」と排斥されるだろう▼記者も"ささやか"ながら貧困問題に取り組んできた。これまで記事を支持してくれた読者に感謝を申し上げたい。今後も読者のために、貧困問題報道に取り組んでいく。(崎)

(2009年3月11日付常陽新聞社会面掲載。)


 「国民健康保険(国保)が高くて困る」。ある自営業者は「国保税は『1人当りいくら』の人数割りなので、家族分の国保税負担が厳しい。納期が(年間で)9期なので、事実上の毎月負担だ」と嘆いた▼あるフリーターは、生活困難のために国保税が払えずにいたら、後日「国保税50万円を払え」との請求書が市役所から届いて頭を抱えたという。別のフリーターは、複雑な家庭事情のため保険証が無い「無保険」状態で、病気の時は薬局の薬に頼っているという▼国保加入者は、現在では収入が不安定な非正規雇用労働者が半分近くを占め、お金が無いはずの失業者も負担を求められる。国保税を滞納すると、保険証は取り上げられ「資格証明書」が代わりに交付される。資格証明書では、病院での窓口負担が10割と高く「けがや病気でも病院に行けない」事態となる▼「貧しさのため医者にかかれない」かつての岩手県沢内村での悲劇が、21世紀になって繰り返されようとしている。(崎)

(2009年3月17日付常陽新聞社会面掲載。)


 「労働法に書いてあることを普通に守りましょうよ!」取手市での講演会で「首都圏青年ユニオン」顧問の笹山尚人弁護士は、参加者に向かって強調した▼笹山弁護士は「労働法を守れ」というのは、「交通ルールを守る」「他人の物は盗まない」と同レベルのはずなのに、職場での労働法破りがまかり通っている現状に怒りを募らせていた▼このほど弊社に、生活情報誌勤務時代の先輩デザイナーが入社した。当時勤務していた出版社は、社員に対して社会保険に加入させない「名ばかり正社員」状態で働かせるなど「労働基準法違反の見本市」の職場だった。だが、生活情報誌は昨年4月に廃刊。社員は路頭に迷ったが、先輩は幸運にも再就職できた▼県内の労組関係者は「茨城の会社経営者は無知で粗暴なのが多い」と嘆くが、出版社社長はまさにその典型。本来ならば労働基準監督署に摘発され、法の裁きを受けるべき人物だが、労働監督行政の不備ゆえ、いまだ法の裁きすら受けずにいる。(崎)

(2009年3月26日付常陽新聞社会面掲載。)