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コラム 記者の呟き

 仕事を終えた夜、いつものように自宅アパートのシャワーで汗を流し、着替えてからジンジャーエールを冷蔵庫から出してテレビをつけた▼テレビには「福田首相退陣記者会見」の映像。急いで報道部長に「福田首相退陣」の一報を入れた。電話口で「マジで!?」と驚く部長。その夜は万一の動きに備えて、一滴の酒も飲まずに、テレビをつけて事態の推移を見守った▼首相退陣を伝えた2日付朝日新聞社会面の見出しは「また政権投げ出し」「いい加減にしてよ」と、安部前首相の辞任劇と重ね合わせていた。昨年の今頃、営業の外回りで寄った理髪店で「安部首相退陣」のニュースを見て、店長から「これから新聞社さんは忙しくなりますね」と声をかけられたのを思い出した。▼安部・福田両氏とも、所詮は打たれ弱い「世襲政治家」。世間の荒波に耐えられない、格差社会の底辺を知らない「僕ちゃん政治家」はいらない。早く解散総選挙を実施して、国民の審判を仰いで欲しい。(崎)

(2008年9月3日付常陽新聞社会面掲載。)


 先日実家から、岩手県宮古市の宮古水産物商業協同組合が実施している「さんまふるさと便」のサンマが送られてきた▼共同通信によると、落語「目黒のさんま」にちなんだ「目黒のさんま祭り」が7日に東京都品川区のJR目黒駅周辺で開かれ、岩手県宮古市で水揚げされたサンマ6000匹が無料で振る舞われた、という▼通信販売やイベントなどでサンマをPRする背景には、農林水産業が衰退し、工場誘致もままならずに雇用の場が減り、公共事業が削減されて地元経済が疲弊している現状がある。「町おこしのため、地元のサンマを首都圏で売らなければ」という切実な事情を抱え、まさに「サンマ苦いかしょっぱいか」▼県南の常磐線沿線都市には、首都圏に通勤する東北地方出身者が多く住んでいると聞く。サンマを取り寄せて故郷を懐かしんでみては。問い合わせ先は、宮古水産物商業協同組合(0193・62・5061、FAX0193・62・5068)まで。(崎)

(2008年9月10日付常陽新聞社会面掲載。)


 「こないだの常陽新聞の記事読んで、大笑いしちゃった」と、読者の方から感想をもらった。問題の記事は、12日付本紙の龍ケ崎市議会一般質問での職員採用試験をめぐる記事▼市側は「採用試験は十二分に公平性、公正性を確保できている」と答弁したが、額面通り受け取る県民はそう多くはない。むしろ「○○市役所に入るのに何百万包んだ」「議員の××さんに頼んで△△市役所に入れてもらった」といううわさが県内各地で大手を振ってまん延している▼驚いたことに「不正採用」を隠すどころか、むしろ自慢げに話す県民がいて、しばしば他県からの移住者をあ然とさせている。「『俺は自分の息子を(市役所などに)入れさせるだけの金があるんだぞ』と自慢したい側面がある」と県民の一人は説明する▼東北地方でもこの手のうわさは多く、正当に受験して採用された職員が、一部の不正採用職員のために「お前もコネで入ったんだろう」と言われるのは悲しいものがある。(崎)

(2008年9月17日付常陽新聞社会面掲載。)


 多重債務問題を扱った22日付本紙「クローズアップ」は、多くの読者からの反響を呼んだ。記事では、債務者本人でもできる「特定調停」と「自己破産」の手続きを中心に取り上げたが、多額の借金をどうしたらいいか分からずに困っている多重債務者には少しでも役立てたかと思う▼しかしこの記事が「多くの多重債務者に届いた」とは言い難い。というのも、ある自治体の消費生活センター担当者は「多重債務者に必要な情報が届いていない」と「情報格差」を指摘する▼若年層の一部多重債務者の場合、自治体の広報紙どころか新聞さえ読まず、民放テレビか携帯電話サイトだけが情報源、という「情報の偏食」ぶりが著しい。それがもとで一部雑誌やパソコン・携帯電話サイトに掲載されている「一般の消費者金融」を装うヤミ金融にだまされ、多重債務を悪化させている▼多重債務と貧困、格差社会問題は、深い根でつながっている。今後とも連載記事などで書いていきたい。(崎)

(2008年9月24日付常陽新聞社会面掲載。)