HOME>コラム

コラム 記者の呟き

 05年9月11日の「郵政選挙」の夜、私は東京・明治公園でイラク戦争反対イベントの取材に当たっていた。現地で選挙速報のラジオを聞き、「自民党が過半数を確保」との速報が流れたとき、現場にいた若者たちからは「マジで!?」と、驚きや嘆きの反応が返ってきた▼あれから4年。くしくも「政権交代」の現場に立ち会うこととなった。当選の一報に歓喜の声が上がる民主党候補者の事務所と、対照的に重苦しい雰囲気に包まれる自民党候補者の事務所。まるで4年前の「郵政選挙の写し絵」を見ているような錯覚にとらわれた。当選した民主党候補者の言葉を借りれば「有権者の怒りのマグマが噴出した」のだろう。5・7%の高失業率に社会福祉切り捨てでは、政権交代を求めるのも当然だろう▼来県した舛添厚労相が「働かざる者食うべからず」と演説したが、「働きたくても仕事が無くて働けない人」が仕事を求めて混雑するハローワークの現状を見なかったのだろうか?(崎)

(2009年9月3日付常陽新聞社会面掲載。)


 先週かぜをひき、近所の病院に診察に行った。先月中旬にもかぜをひいたので、病院職員から「また来た」と思われたかもしれない。診察には、病院の診察券と会社が加入している「全国健康保険協会」保険証が欠かせないが、今や「プラチナカード」並みに貴重になっている▼というのも、低所得のため国保税が払えず、国民健康保険証さえ持てない非正規労働者の間では「ゴホンと来たら1万円」といわれ、かぜをひいても満足に病院に行けない現状がある▼米国では「ゴホンと来たら1万円」は日常茶飯事で、一般国民は民間医療保険に加入しているが、保険会社の都合で加入できない国民も多い。このためオバマ大統領が医療保険制度を改革し、国民向けの公的医療保険制度を導入しようとしているが、「社会主義的制度だ」との反対論が根強い▼公的医療保険制度を導入している日本やヨーロッパ諸国は「社会主義国」なのだろうか?米国も「命を大事にする政治」に転換して欲しい。(崎)

(2009年9月11日付常陽新聞社会面掲載。)


 先日、稲敷市が消費者金融相手に過払い金の支払いを求める件の取材で、ある消費者金融に外出先から電話でコメントを求めていたところ、たまたま編集局にいた新人記者が消費者金融からの電話に応対したため、新人記者が「消費者金融からの借金取立ての電話」と勘違いしたらしく、「消費者金融から借りているんですか?」と質問されるはめになってしまった▼新人記者が消費者金融からの電話を本能的に「怖い」と感じるのも無理は無いが、以前本欄でも触れた「大手消費者金融会社に批判的な記事を書いていたフリージャーナリストが、自宅の電話を盗聴された事例」に比べれば大したことではない▼多重債務問題に取り組んでいる弁護士や市民団体は、消費者金融やヤミ金融などを相手に一歩も引かずに交渉をして、違法な取立てなどから債務者を保護し、違法な高金利の債務からの解放に努力している。彼らの努力に報いるためにも、報道機関は決してひるんではならない。(崎)

(2009年9月18日付常陽新聞社会面掲載。)


 先日の東京出張の際に、デジタル一眼レフカメラの外部ストロボ補修のため、このカメラメーカーのプロサービスセンターに立ち寄った。同センターでストロボの補修をしてもらったついでに、カメラのストラップを同社の「プロストラップ」に交換してもらった▼「プロストラップ」とは、同社のプロサービスを受けるカメラマン向けの販促ツールで、交付されるのは日本新聞協会加盟の新聞社・通信社のカメラマン・記者、または同社が認定した個人会員のフリーカメラマンなど、ごく限られた人々。そのため、アマチュアカメラマンの間では羨望のまなざしで見られる▼一部中古カメラ店では中古プロストラップが高値で販売されているため、現在ではプロストラップの管理が厳格化され、交換の際には所属新聞社の名刺を提出した上で、一眼レフカメラ本体の製造番号を記録してから交付される。プロストラップを装着した自分のカメラを見つめて、気の引き締まる思いがした。(崎)

(2009年9月25日付常陽新聞社会面掲載。)