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特集

龍ケ崎まいんコロッケ、東京・高円寺進出

「富士宮やきそば」を超えられるか?

首都圏を制して"茨城の味"を全国区へ

東京・高円寺の龍ケ崎まいんコロッケ

まいんコロッケを購入する来店客=東京都杉並区高円寺北の龍ケ崎まいんコロッケ

 作家・ねじめ正一氏の短編小説「高円寺純情商店街」の舞台となった、東京都杉並区高円寺。この地に「龍ケ崎まいんコロッケ」の販売店が1月30日に開店し、東京都民に"龍ケ崎の味"をアピールしている。「美食の都・東京」で、まいんコロッケは都民の心をつかむことができるのか?本紙記者は、一路高円寺へと向かった(崎山勝功)

「人の多い商店街でやりたかった」


内記洋輝店長

「龍ケ崎まいんコロッケ」の内記洋輝店長

 都心からの帰宅客でごったがえすJR高円寺駅北口から「純情通り商店街」を直進し、「庚申(こうしん)通り商店街」に向かう。腕時計を見ると午後6時半を過ぎていたが、商店街は多くの買い物客でにぎわっていた。商店街をしばらく歩くと「龍ケ崎まいんコロッケ」の看板が見えた。

 買い物客がひと段落したところで、同店の内記洋輝店長(28)=岩手県北上市出身=が取材に応じた。

 まいんコロッケを販売するきっかけとなったのは、同店の経営母体であるイベントグッズ製作・企画会社「有限会社ゲイン」(本社・東京都渋谷区、松崎辰次社長)の社員で、同店の広報担当を務める北村孝二さんが龍ケ崎市出身で「実家のほうでコロッケで町おこししている。茨城では有名だけども、東京では浸透していない」ということで、龍ケ崎市商工会と協力して始めたという。高円寺を選んだ理由については「人の多い商店街でやりたかった。人がたくさんいるところでやることで、茨城の、龍ケ崎の名前も浸透する」と語った。

高円寺での評判は上々


 高円寺で開店して以来、買い物客からは好評で、「龍ケ崎ってどこですか?」「コロッケで町おこしをしているところです」などの会話があるという。

 同店ではまいんコロッケ9種類を販売しており「安心、安全な手作りコロッケ」がセールスポイント。また、各コロッケの試食も行っており、「試食して(まいんコロッケの)味を確認してもらう」(内記店長)という。このため、開店から約2週間でリピーター客も増えており、「激戦区・高円寺」での成果が上がっている。

 内記店長は「年配の方は『懐かしい』といい、若い10代から20代の方は"新しい感覚"のように感じている。『コロッケのテイクアウト』が、若い人には新鮮に映っている」と語る。取材中も自転車に乗った若者がまいんコロッケを購入し、ファストフード感覚で食べていた。

龍ケ崎観光物産センターでも販売


 まいんコロッケが東京進出する一方で、地元・龍ケ崎市でも「まいんコロッケ」のさらなる浸透を図っている。

 今月7日に同市佐貫町の関東鉄道佐貫駅ビルⅡに開設された「龍ケ崎市観光物産センター」では、観光客向けに冷凍のまいんコロッケを販売している。これにより、県外からの観光客や同市内の工業団地に出張で訪れたビジネスマンにも、おみやげとして購入できるようになり、さらなる効果が期待される。

"茨城都民"へも浸透が期待


 だが、同市佐貫地区周辺の商工関係者からは「(同市の)ニュータウン在住の住民に『まいんコロッケ』が浸透しているとは言いがたい」との声がある。

 同市の長山、松葉、小柴、久保台、城ノ内地区のいわゆる「ニュータウン」在住者は、東京方面に働きに出ている"茨城都民"と呼ばれる住民が多くを占める。昔からの住民が多い市中心部地区と、"茨城都民"の多いニュータウン地区、両者が混在する佐貫地区では、市民の意識にも若干の温度差がある。だが「龍ケ崎まいんコロッケが東京で話題になっている」となれば、"茨城都民"も「東京からの逆輸入」する形で、改めて地元のまいんコロッケの魅力に気づく効果が期待できる。

 昨年11月3日に同市で行われた「国民文化祭・食の祭典」では、静岡県富士宮市の「富士宮やきそば」に長蛇の列ができた。「まいんコロッケ」が東京で有名になれば、「富士宮やきそば」のように町おこしの効果が期待される。

※「龍ケ崎まいんコロッケ」は、東京都杉並区高円寺北2の41の15。営業時間は28日までは午前11時~午後11時まで。3月以降は、場合により営業時間を見直す予定。電話03・5356・9576まで。

(2009年2月16日付「常陽新聞」1面掲載。日付、肩書きなどは掲載当時のまま。)